2025年12月7日
Edinburgh Institute of Diplomacy and Economics Briefings
-意図的に「分断された」世界は全てプーチンの掌握下にある
欧州は結束を維持し、世界のさらなる混乱に立ち向かわねばならない。
<要約>
プーチンはある意味で有能な策略家である。
ロシア・ウクライナ戦争はプーチン政権下で継続する。
言い換えれば、不確実性が支配し続け、地政学的リスクは高止まりする。
したがって金融市場の変動性は高水準を維持し、安全資産の価格を押し上げる。
巨額の損失を防ぐにはポートフォリオの分散投資が不可欠である。
AIが牽引する金融市場のEPSの増加が引き金となり期待要因であるPERも上昇している。
相場調整には備える必要がある。
<AI牽引相場ーM7とS&P500>
プーチンの目的は、トランプ政権下で西側諸国を分裂させたまま自らの体制を維持することにある。
トランプは自身の名声と米国経済の両面から、戦争の即時終結を望んでいる。
端的に言えば、現在の米国は規範主導の国ではなく、単に規範を武器とする経済体である。
一方、欧州は規範を育む連合体だ。
だからこそ両陣営は、この戦争の停戦達成方法について根本的に対立している。
この継続的な分裂が、ロシアの残忍な攻撃を許している。
ロシアの侵攻は甚大な犠牲者を出した。
国内世論を考慮すれば、プーチンは相当な利益を得ずに戦争を終結させられない。
したがってクレムリンには戦争を長期化する以外の選択肢はない。
狡猾なプーチンは上述の状況を理解しており、それが彼を世界、特に欧州へ脅威と不確実性を輸出させる原動力となっている。
新生アメリカは、大戦争とその破壊的結果から教訓を得た欧州とは対照的に状況を未だ理解していない。
プーチンは欧州へは直接的脅威を与えるが、アメリカは刺激しない。
これはプーチンが最大限に活用してきた戦略である。
トランプが中東停戦を仲介し、湾岸地域で米国主導のAI経済を創出しようとする商業主義のおかげで、ウクライナ問題が世界の注目を集めている。
イスラエルは依然として軍事作戦を継続している。
しかし、脅威に晒された欧州は、プーチンが意図的に計算した直接的な脅威に対抗するため、より悪くない選択肢であるイスラエルとの軍事協力を深化させる道を選んだ。
例えばドイツはイスラエルからミサイル迎撃システムを導入することを決定した。
戦争犯罪者ナタニヤフはガザでのジェノサイド実行という非難されるべき行為に対し、厳しい批判を免れている。
前述の通り規範を重視する連合体である欧州だが、ロシアが意図的に仕掛けた存亡の危機がこの外交政策を生んだ。
本質的に欧州は秩序維持こそが相対的な正義を追求する基盤であることを理解しているのだ。
トランプ主導の分断された世界において、景気後退期の中国もまた、国内の不満を外向きに転換するよう迫られている。
したがって、共産党は強硬な外交政策、特に台湾海峡関係においてそれを維持せざるを得ない。
この状況を認識しているか否かに関わらず、日本と米国は抑止政策として、中国本土による台湾侵攻が発生した場合に台湾を防衛する決意を示した。
技術的には、北京が台湾侵攻を即座に開始した場合、米国が現実的に台湾を救えるかは極めて疑わしい。
結論として、欧州内部の些細な摩擦さえも、中国が長年目指してきた目的達成の機会となり得る。
<2025年初以来の米国株の騰落率の要素分解ー高まるPER>
<米国株と米国光波と浮かぶの予想PERの推移ーS&Pは割高で調整が始まっている>
<すべての図表はフランクリンテンプルトン参照>
https://www.franklintempleton.co.jp/market_info/us/letter/25631.html